=知多半島到着(半田編)=

こうして無事到着&合流成った我々、ひとまず『半田・常滑IC』には車を停めるスペースが無いため我々はそのまま停車せず最初の目的地ICから約5分の『新見南吉記念館』に向かい駐車場にて改めてイーストいっちゃん御夫婦との再会を楽しむのでした。



いっちゃん夫婦@クラウンワゴン       やっと到着って感じの私達!


<新見南吉記念館>

ここはご当地半田出身の童話作家『新見南吉』先生の記念館。新見南吉を知らなくてもその作品『ごんぎつね』や『手袋を買いに』や『おじいさんのランプ』等を御存知の方も多いかと思われるのですがその作品すら御存知無い方でもここは一度訪れる価値が有ると僕は思うのです。新見南吉の作品、新見南吉の生涯にふれる事で自分が普段の生活の中忘れかけてる何かを思い出す事が出来る、そんな場所だと思うからです。



実は誰も信じてくれない(事実みにすけはじめ皆さん信じてはくれなかった)のですが、今回参加のうち3名(僕、パーピー、いっちゃん)は同じ大学(O.U.A.)の“文芸学科”(多分他の大学で言う所の文学部でしょうか)の先輩後輩なのです(もっとも僕は中退ですが).。

入り口で入場券(\210)を買って入るとそこはコンクリぶち抜きの空間(OUAと同じ)、順路に従って歩くといきなりの下り階段、「駐車場の案内版にはちゃんと車椅子のマーク付いてたのに全然バリアフリーちゃうやん」とか言いながら下りていくとそこには新見南吉先生の作品や生涯に関する年代別作品別の資料が綺麗に整頓並べられて展示されていました。



皆こういう所は苦手なのではと少し気を使ったりもしたのですがなんのなんの、皆熱心におとなしく思い思いに見学されていました。

中でも僕達の興味を引いたのが展示室の一室で上映されてる南吉の作品のアニメーションでした。このビデオシアターにはセンサーが付いており人が中に入ると勝手に約20分のアニメを上映するシステム。2年前訪れた時は『ごんぎつね』だったのですが今回は『手袋を買いに』が上映されてました。どうやら周期的に内容が入れ替わるみたいですね。

 

どうよ、この真剣な眼差し!

2年前来た時ここで『ごんぎつね』観て涙が止まらないくらい込み上げて来てその後の見学がままならなかったのですが今回の『手袋を買いに』も同様でかなり感激してしまいました。お話も優しいのですが絵がまた優しくって、でキツネさんのお話なんですけど実家に預けてるネコさんの事思い出してしまったり子供の頃思い出したり独り置いて来たウチの人の事思い出したりして泣き出さない様にするために実は大変だったのです。

2年前観た『ごんぎつね』(2000年11月ビデオシアターにて撮影)

で、何とか涙は免れたものの命からがらビデオシアターを抜け出してみればそこは紛れも無く新見南吉ワールド(当たり前ですが)、様々な作品や彼の生きた証が僕の心に無言のメッセージを......、で歩くとまた泣き出しそうに成る訳です。

僕が感じるに新見南吉の作品には何と言うか独特の優しさや人への想いが漂っているのです。若くして病に伏した南吉、どの作品もその病と戦う中から生まれて来た物と言っても過言ではありません。ですから彼の優しいお話に僕は時として力強さをも感じる事もあるのです。作品の優しさは作品のお話自体の優しさだけではなくお話の最後を決して作者が一方的に解決させてしまうのではなく読者に委ねるあたりにも見られるように思います。

『ごんぎつね』のラストでは『ごん』は『兵十』(ひょうじゅう)さんに撃たれてしまうのですが南吉はここでごんが『死ぬ』とは一言も言ってませんで『青い煙りが、まだ筒口から細く出ていました』で締めくくってるのです。また『手袋を買いに』はじめ他の多くの作品でもお話の終わりは解決する物ではなくそのまま読者の中にお話を残す形で終わっている場合が多いのです。そう、お話のラストは実は読者の空想の世界に委ねられてるのです。『ごん』は死んだのかもしれませんし実はその後持ち直し兵十さんと幸せに暮らしたのかもしれないのです。ここからは読んだ人の空想の世界、そしてこれは読む人への南吉からの優しい計らいだったのかもしれませんね。


南吉の歴史をパネルで紹介        『手袋を買いに』生原稿

様々なお話をジオラマで再現(『手袋を買いに』第1章)

子供の頃、小学校の国語の時間に『ごんぎつね』習った時今のように涙が出るくらいの感じ方しなかったように思うのですが今は涙物です。新見南吉の童話は子供から大人まで全ての人を包み込む暖かさが有ります。そしてある程度年令を重ねた時改めてその深さが感じられるのかもしれません。

数多くの童話作品を残した新見南吉も昭和18年3月22日病には勝てず喉頭結核の為29歳7ケ月の若さでこの世を去ります。記念館には作品以外に南吉が生前教員をしてた頃親しかった女性(確か同僚の先生)に宛てたお手紙(恋文?)等も展示されていて童話を通じて僕達が知る童話作家新見南吉だけでなく“人”新見南吉に触れる事が出切るそんな記念館なのです。

記念館の有る場所に『中山』という小さな山が有って『せせらぎ』が流れています。この『中山』と『せせらぎ』こそ童話『ごんぎつね』の 舞台(モデル)となった場所なのです。


      『童話の森』入り口のモニュメント    流れるせせらぎ、ここで『ごん』が (撮影パティシエ氏)) 

ノートに記帳する僕(撮影いっちゃん氏)


=常滑に向かう=につづく.....

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