シリーズ 2CVをなおす

レティーさんの折れたマフラー修理の巻

<その2>

 

おっちゃんの工場にて

<2005年3月13日(日)>

=作業する人=

おっちゃん
Ma2スズ夫妻
レティー氏

Report&Photo by,おっちゃん
by. Cried Light West



前回 迄のあらすじ>

 クライド新メンバーのレティーさん@2CVの折れたマフラーのインターパイプ(エンジン下のプライマリーマフラーとサイドにぶら下がってるセカンドマフラーを繋ぐスワンネック状のパイプ)の修理をすべく立ち上がった僕おっちゃん。 CCJの集まり にて折れて虚しいマフラーをレティー氏より預かって翌月曜には溶接修理完了。一週間後の日曜にいよいよ取り付け作業に望むにあたって応援に駆け付けたMa2スズ夫妻。が、ま、まさか、あんな事に成るとは!!!!


= とまあ、ここまでが前回のあらすじ=


今回集合の皆さんには「朝10時〜お昼12時くらいに来てね」と伝えてありました。僕はこの日夕方から仕事だったので少しでも効率良くしようと皆さんが来られる迄の間我が愛車2CVさんのお手入れをすることにしました。


1、キングピンのグリスアップ


先ずはこのところサボってたキングピンのグリスアップをしました。ヘインズのマニュアルによるとここは5000Km 毎のグリスアップが必要との事です。僕のはもう既に5000Kmどころではありません。


     
(左)今から整備開始  (中)グリスガンセット  (右)グリスの入口と出口

キングピンのグリスアップを怠るとやばい事に成ります。面倒がらずに必ず定期的に行いましょう。さもなければやばい事に成るのです(謎?)。このほかにも2CVにはグリスアップが必要な所が有ります。スプライン( ドライブシャフトの所)とボディー下のナイフエッジの所も定期的にグリスアップしないとやばいですわ。

今回はスプラインもナイフエッジもええ感じだったのでしませんでした。キングピンのグリスアップはタイヤの付け根の下の方のニップル(子供のチン○ンみたいなやつ)から入れます。普通人間ならチン○から物入れられたら激痛により暴れますがこの人は2CVだから大丈夫なのです。で、下から注入(右写真IN)すると上の隙間(右写真OUT)から水分とかで変質したとてもばっちいグリズの古いやつが出て来ます。このばっちいグリスを拭き取りながら注入を進めばっちいのが出尽くすとやがて今注入してる新しい綺麗なグリズが出てくるのでそれで注入OKのはず。次にエンジンオイルの交換を行いました。


2、エンジンオイル交換


僕はエンジンオイルを3000Km毎に交換してます。エンジンオイルのグレードは20Wー50使ってます。冬場などは20Wー40使ったりしてますが大体これくらいの固さをお勧めします。Ma2さんはスズさん@MINIと共通なのでしょうか少し固めの20Wー60(でしたっけ?)使ってるそうです。間違ってもホームセンター等で安く売ってる10Wー30とかはやめてくださいね。昔知らずに安物の10Wー30入れ続けた僕のVWタイプ3のエンジンは5年でパーに成ってしまいました。2CVのノーマルのオイル量は2.5ℓです。


 
(左)エンジン下のドレインボルト開ける (右)エンジン上の吸入口から入れる

エンジン下のドレインボルトを外すとオイルが出て来て抜く事が出来ます。この時必ず受け皿をしないと悲しい事に成ります。オイルは走った後やしばらく暖気運転した後に抜くと柔らかく成ってるので最後迄抜きやすいのですが火傷に注意しないと悲しい事に成るのです。オイルを抜いた後はドレインボルトを締めるのですがこの時ボルトに付いてるワッシャはオイル交換毎に新品に交換しましょう。ボルトを締めたらエンジン前部のオイル注入口からオイルを規定量(2.5ℓ)入れ注入口横のレベルゲージで油量を確認してOKだったらこの作業は終わりです。


3、エンジンの謎の部分のフレアリング加工


エンジンのヒートエクスチェンジャーの前の所のパイプに左右を繋ぐ謎の細いパイプが付いてるのですが(2CVの正規輸入ものに多い気がする)これの根元がスポスポに成ってて排気漏れを起こしてたので修理しました。修理はいたって簡単で、外れたパイプの先をフレアリング加工(拡げ)してネジ止めして終わり。ポイントはパイプは固定ネジのまん中を貫通してるのでネジを通した状態でフレアリング加工しましょう。ネジ通すの忘れてパイプの口拡げたらそらあんた往生しまっせ。


   
(左)スポスポだったのよ (中)このような機具で拡げます (右)ほらフレアー

 
(左)完成よ    (右)そこへMa2スズ夫妻登場

作業はあっと言う間に完成、そこへMa2さん&スズさん夫妻が現れました。でも、あのパイプはいったい何なんだろう?僕は勝手に同調パイプと呼んでるがよおわからん。平行輸入物には見当たらない事思えば無くてもあんまり関係ないんちゃうん?誰か教えて。(お願い)


4、Ma2スズ夫妻もグリスアップ


主役のレティーさんの到着が未だだったので到着されるまでの間にMa2スズ夫妻も僕同様にキングピンのグリスアップをする事になりました。Ma2さんの2CVはもともと程度が良かった事も手伝ってかグリスアップ等の整備を怠って来られた気配。作業仕方を教えながら御本人の手によって作業は和やかな雰囲気の中行われました。しかし、ま、ま、まさかあんな事に成ろうとは......。

キングピンのグリスアップを済ませ念のため他のグリスアップポイントも説明したまでは良かったがどうもスプラインのブーツ(ドライブシャフトまん中のブーツ)がスカスカでグリスが充分に入っていない様子。で、グリスを補充するためフロントのカバー類外すはめに。で、ここまでも良かったのですがこの後あんな事に成ろうとは....。

フロントを外したついでにドライブシャフトの他の二つのブーツも確認したところタイヤ側もディスクローター側も妙にペコペコでいずれも充分にグリスが入って無い気配。ここで誤解を招かないよう解説を入れますと、じゃあ逆にグリスが充分すぎるくらいに入っててブーツがパンパンに成った状態ってのが良いかと言えばそれは決して良く有りませんでこのような場合走り出すと遠心力でブーツをやぶく原因に成りかねません。目安は、スプラインはニップルからグリス注入した時にブーツが反応し出したらOKでパンパンに入れる必要は有りません。タイヤ側とディスクローター側はブーツの中やベアリング部にこれでもかと言うくらい入れますがやぶけるくらいパンパンには入れません。Ma2さんの2CVはこの3箇所のブーツが簡単に縮まるくらい中に何も入ってませんでしたよ。と、ここまでも良かったのですが(良く無い)、
おまけにタイヤ側のブーツが破けてる事が発覚!!よおそれで先日の車検通ったもんだわさ。

結局、僕がクラブ活動で使おうと買っておいたブーツをお譲りしてMa2スズ夫妻の運命はドライブシャフトを外してブーツ交換とグリスアップをする重整備に発展!。この間に主役レティーさん登場って事で僕は2台の2CV間を行ったり来たりする羽目になりましたわ。


   
(左)キングピンだけのはずが  (中)スプラインにまで発展 (右)結局重整備に姿を変えました


上写真まん中のスプラインのグリスUPですが、中央のブーツが反応(膨らむ感じ)し始めたらそれでOKです。蛇腹は4段に分かれてますが4段目(端っこ)までグリスを入れる必要は有りません。また、このブーツは内側(ミッション側)はバンドで止めますが外側(タイヤ側)は何も止めずフリーにしておきます。これは、ドライブシャフトが走行状態に応じて伸び縮みするためここを止めると破ける原因に成るのとスプラインに補充されたグリスの余分な分が伸び縮みの際ここから追い出されるように成ってるのでここを止めてはいけないのです。その意味からも定期的な補充が必要と成るのです。今回キングピンにはシャーシグリスを、その他には熱に強いモリブデングリスを使いました。


5、レティーさんのマフラー取り付け


レティーさんが来られた事でいよいよ本題に入ります。一週間前に預かって修理しておいたマフラーの取り付けが始まるのです。Ma2スズ夫妻も手を休めてお手伝いに来てくれました。いよいよ取り付けです。何故かMa2氏によるマフラー贈呈式が行われ作業開始。当初心配された溶接による寸法の狂いも無くスムーズに取り付けは行われめでたしめでたし。ただし、これに関してはですが(苦笑)。また、この頃より雪が降り出し雪中整備となりました。


   
(左)レティーさん登場  (中)でも雪が!   (右)作業開始

 
(左)寸法も角度もバッチリ (右)取り付け完了


6、レティー号サイドブレーキ調整&ブレーキオイル(LHM)交換


さて、ここまでは序の口、一週間前のCCJの集会でレティー号のブレーキオイルがやけに茶色いのを発見!CCJ会場で主催のダックテールさん始め各人に意見聞くも皆さん答えは同じく『茶色』。2CVの1981年以降のフロントディスクブレーキのモデルにはブレーキオイルはLHMを使う事に成ってるのですがこのLHMって液体は緑色なのです。茶色って事は劣化してそう見えるのか、はたまた修理工場でLHMって事知らないメカニックによって普通のブレーキオイルを入れられた可能性が有ります。いずれにせよ最悪の状態なのでブレーキオイルを交換する事にしました。その際レティー号のサイドブレーキが全然利いて無い事も発覚したのでこれも調整しました。ただしサイド調整は写真がないのでここでは省略させていただきますね(また回を改めます)。で、ブレーキオイルのLHMは結局総入れ替えしました。


   
(左)ウ〜ン茶色っぽいぞ! (中)とにかく作業開始 (右)出て来たのは明らかに茶色

結局はまだ何の症状も無かった事からLHM総入れ替えとエア抜きだけで今回は済ませましたがあと一歩遅かったらブレーキ総入れ替えって事に成ってたかもしれませんがその前に命が危なかったかも。 今回のこのような事は良く聞くトラブルで2CVを知らない一般の修理工場に修理を出すとLHMではなく普通のブレーキオイル入れられて終わってしまうってやつなのです。普通の車の常識で修理されると非常に困るおもろい車が2CVなのです。その奇抜な発想はもはや芸術的でまるでセロニアス・モンクのピアノを想わされるのです(そんな風に想うの僕だけです)。


7、一方Ma2スズ夫妻は


で、気に成るMa2スズ夫妻のその後ですが、4時前に無事(?)全作業を終えて夕方から行かねば成らないお通夜に向かわれましたが、その前に途中でグリスが切れたのでスズさんが僕の2CV運転してホームセンターまでグリス買いに行くという勇ましい場面も有りました。


   
(左)梅が満開でした (中)お二人の共同作業 (右)外れたドライブシャフト

   
(左)説明する僕  (中)ブーツ履かせる  (右)頑張ってます

   
(左)完成!!   (中)おお!!!  (右)良くやった!!!!


というわけで完成の後、挨拶を交わして大急ぎで帰って行かれました。この後レティー号のエンジン不調が発覚、直感的に点火だと思ったのでポイント調整をすることにしました(詳しくは ここ )。結局レティー号も僕のと同じでポイントのカムが謎の右に15度程傾いてたので僕のと同じ調整を施してやると一気に調子よく成りました。


 
(左)レティー号完成!! (右)僕が仕事行くときにはすっかり


作業が総べて終了してテストランしてから解散、僕は仕事に、レティーさんは工具を物色に行かれました。夕暮れと共に雪は増々強く成り辺り一面を真っ白に染めていました。




2005/20/Mar   by,おっちゃん



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